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アーカイブ(2013年 新年のご挨拶)

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注1)2023年9月1日より、APEX GROUPのメンバーファームとして、Apex Group Japan税理士法人 に改組しました。










税理士として独立してから17年が経過しようとしています。

独立した1995年といえば平成不況の嵐が吹き荒れる中、 インターネットという新しいビジネスの可能性が生まれ、パソコンが爆発的に普及したころです。
振り返ってバブル後遺症の中、少しずつ新しいビジネスの芽が出てきた時代に、起業することができ、とても幸運だったと思います。

当時税理士として独立すると同時にベンチャー企業を共同出資で設立し、その後5年に渡りベンチャービジネスに従事したため、 私の会社を含めベンチャー企業の栄枯盛衰を数多くみることができました。 そしてその時の経験を生かし、現在数多くのベンチャー企業のお手伝いをさせていただいております。

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平成24年(2012年)を振り返って
    ~平成25年(2013年)の中小企業、オーナー企業及びベンチャー企業の展望~

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平成24年を顧みますと、国際情勢の悪化、円高株安、政局混迷と企業経営において何一つ好材料がなかった感がします。
12月になってから、解散総選挙を経てようやく変化の兆しが出てきたことは、嬉しい限りです。

2012年この1年間中小企業が何をしてきたかというと、リーマンショック後の経済環境への適応化を進めてきており、 2012年末においては第三コーナーに差し掛かったところだと感じています。

 第一コーナー: 急激に悪化した経済環境に対応すべく、縮小均衡による収支バランスを取る時
         期 [2008-2009年]

 第二コーナー: 縮小均衡を達成し、悪化した経済環境下でも、継続企業(ゴーイングコンサー
         ン)として企業活動を続けていく体制を整備する時期 [2009-2010年]

 第三コーナー: 悪化した経済環境という、新しいルールの下で、どのように企業成長を果たし
         ていくか、チャレンジを始める時期 [2010-2012年]

業界、企業規模等により状況は異なると思いますが、マクロで中小企業の現況を捉える上では、大きく外れていないものと 確信しています。

さて、平成25年(2013年)1月現在、どのように外部環境を読み解くのか、非常に難しい局面だと感じています。 

ご存知の通り、1月4日東京株式市場の大発会では、東日本大震災発生前日の終値10,434円を大きく上回り(10,688円)、 今後の日本経済に対する回復の期待感がマーケットを席巻しています。

果たして、第三コーナーに差し掛かっている中小企業がどのような経営の舵取りをすべきか、私は次のように考えます。

 1) 景気回復局面の持続力  半年から2-3年間

 2) 日本経済の回復能力   国際マーケットにおける過小評価部分の揺り戻し調整が現在起
                こっている。絶対的な少子化を背景に、内需による自律的な経
                済成長は残念ながら多くは望めない。
                (※光明があるとすれば、貿易自由化促進、企業の海外進出拡
                 大と外国人の大量受入れがカギ)

 3) 国際経済の回復能力   欧州経済危機、米国の財政の崖、日本の財政赤字 のどれを取
                っても根本治癒ではなく、先送りにより目先の危機回避で安心
                しているだけ。
                  その中でも、世界経済を一瞬にして引きずり落とす可能性が高
                いのは、欧州経済危機。
                中国、インドをはじめアジア諸国の経済発展が頼みの綱だが、
                国際金融マーケットが地球上津々浦々、連動してしまっている
                ため、欧州経済危機が深刻化すれば、アジア諸国も引きずり込
                まれてしまう可能性が高い。

【余談】 1/6日経に、企業の資金調達方法の多様化について小さな記事がありました。

企業が独自に社債を発行したり、生保が資金提供機能を強化する動きが出ているというものでした。類似した最先端の金融工学?を学んだ人たちが、全世界で似通った価値観の下、資金運用や投資判断を行なってしまうと、自律的な調整機能を失い、世界規模での恐慌を引き起こす一因になってしまうのではないかと思います。
企業による社債、生保からの融資そしてイスラム金融(詳細知りませんが...)のような、金融の多様化が進めば、連鎖的な世界恐慌を回避する助けになるのでは?などと思いました。

                    そこで中小企業が、これからの半年~数年間の事業戦略をどのように企てるかによって、未来に向け成長していく企業 となれるのか、それとも衰退していく企業となるのか、分水嶺になると考えます。2つの例を挙げて解説致します。

 <ケース1>

 景気が回復することで、リーマンショック以前に匹敵するボリュームの仕事が発注されてきたた
 め、設備投資及び人員増で対応することで、業績UPを図る。

 <ケース2>

 景気の回復局面を好機と捉え、今後日本経済が縮小する前提に立ったビジネスモデル構築を推進
 する。 

実際、経営者であれば上記<ケース1>、<ケース2>のどちらか一方を選択するという極端なことはしない と思いますが、意識として<ケース2>にウエイトを置いた戦略が取れるかがカギとなります。

マクロ的には縮小するマーケットで何をすれば良いか見えないかもしれませんが、年商100億円や年商1000億円 の規模に成長させるための戦略でなければ、活路は見出せるのではないでしょうか。

 - 今後有望視される分野でのニッチ市場開拓

 - 特定エリアでの競争優位

 - 特定商品での競争優位

経済成長著しい国家の中であれば、同業他社と一緒に自社も成長していくというシナリオが描けるかもしれませんが、 経済成長ゼロを前提に、企業経営を行なうためには、同業他社に対する差別化、競争優位というものが必須と なってきます。景気回復局面がいつまで続くか分かりませんが、近年稀に見る千載一遇のチャンスかもしれません。

【余談】また恐縮ですが、余談です。。 
1/6日経に、 『トヨタ、工場3年新設せず 既存工場を効率化』という記事が載っていました。記事によると

トヨタ自動車が投資戦略を転換する。2013年度から3年間は全世界での増産投資を既存工場に限定し、新たな工場を原則追加しない方針だ。01年からほぼ毎年工場を建設してきたが、当面は工場数を増やさずに生産性を高め損益分岐点を引き下げる。景気後退など需要急減時にも一定の利益を出せる体質を築き、中長期での成長持続を目指す。

とありました。

『景気後退など需要急減時にも一定の利益を出せる体質を築き、中長期での成長持続を目指す。』 は、大企業に限らず中小企業を含めた全ての法人における一大テーマではないでしょうか。

さて、少し長くなってしまいましたが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。

最後に、今年の初詣で引いたおみくじに書かれていた短歌をご紹介致します。
ちなみに"中吉"でした(笑)

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世の中は何か常なる飛鳥川昨日の淵ぞ今日は瀬になる (古今和歌集 933)
【現代語訳】
この世の中に変わらないものが何かあるだろうか。ちょうど昨日まで飛鳥川が淵だったところ
が今日は浅瀬にかわってしまうように
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繰り返しとなりますが、外部環境は今まさにオーバーシュートしてしまっていた悲観論から揺り戻しによる景気回復局面です。

皆様におきましては、この好機を的確に掴み、更なる飛躍の年となることをお祈りするとともに、 弊事務所がその一助となりましたら幸いです。

当ホームページをご覧頂いた皆様とお会いできることを楽しみにしています。



AXESS総合会計事務所
阪 口 雅 則 (東京税理士会神田支部所属)

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